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過疎化

久しぶりに田舎に帰ってきた。
過疎化が進んでいる。
小さい頃はここに住んでいて、都会の便利さにあこがれていた。

ここも決して停滞しているわけではなく、いろいろなことが変わっている。
人力でしんどい思いをしてやっていたことがどんどん機械化され、人なんかいなくてもやってくれる。
大きなバイパス道路が通り、旧国道沿いの自宅近辺もだいぶ静かになった。
たぶん、こうして文明の恩恵を受けていくのだと思うのだが、結果として「人間の手を煩わさない」方向に全てが進んでいる以上、どんどん田舎の人口が減っていく。

久しぶりに、と小学校の教室に向かう。
机と椅子が5人分しかない。もちろん一学年1クラス。まるで山奥の分校状態である。
以前は、ここが本校で、分校を持っていた。自分が通っていたこの小学校は、いま全校生徒が60人を切っているらしい。
親となるべき年齢の人間がおらず、子供もいない。
このままここに暮らしている人間は、年老いて死んでいく。

小さい頃、暮らしぶりそのものは変わらないまま、世の中が便利になっていくのだと思っていた。
でも、本当は違う。
便利になればなるほど、人間がいらなくなっていく。
そして人間でなければできない仕事、というものがない以上、どんどんさびれてすたれていく。
こんなわびしい田舎だったのかと驚くことになる。

捨てられた廃屋。
道端のさびた看板。
高校卒業後すぐに、就職先で事故で亡くなった友達の、葬儀のためのお寺。
そこに集った200人をこえる同級生の人数が、今考えれば嘘のような人数だったと、さびしく静かにたたずんでいる

ここでなければ学べないたくさんのこと、すべてを、包み込むように
黙り込むように
30才も後輩の小学生が書いた「大運動会」の画用紙のポスターが風にゆれながら
ゆっくりとゆっくりと眠るように死んでいくのかと思うと
自分の田舎そのものが
切なくて切なくて泣けた。
by xdev | 2004-09-20 19:40 | 身の回り
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