レゲエのおっさん

まだ石川町駅に喫煙エリアがあったころの話。

その日はちょっと会社で残業。本当は早く帰るはずだったのに22:30くらいを過ぎていた。
駅のホームについたら運悪く(こういうときは大抵、ついてない)電車が出たばかり。あと10分は待ってないといけない。しょうがないので一服。
そこに酔ってるらしい赤ら顔をしたレゲエのおっさん(住所不定、年齢不詳、無職)が。
男:「なあ、兄ちゃん、タバコくんねぇか」
俺:「メンソールでいいの?」
男:「くれんの?本当?うれしいなあ。オレ、乞食だからよお」
俺:「一本でいいのか? はい」
男:「あと...火も貸してくんねぇか」
俺:「いいよ、ほら」
シュボ
男:「いやー、うまいなあ」
俺:「んじゃ」
男:「ありがとよ」

実は、オレ、こういうのによく遭う。
昔、お客さんの会社を出てバス待ちしてたとき、部下と一緒に数人で待ってたらレゲエのおっさんがまっしぐらにオレのところに来て「タバコくんない?」と。バス待ちしてたオレのチーム・メンバー4人中3人はスモーカー。みんなタバコすってんのになぜかまっすぐオレのところ。一人は地蔵になるほど苦手。
こういうおっさん、実は話すと面白い。前に絡まれた時は、呑み屋でしぶしぶ買った好きでもないタバコがあったから、一箱まるごとくれてやったこともある。そのときは拝まれた。

で、今回のおっさん、だいぶ酔っ払ってたらしくて
「今日はいい兄ちゃんに会えたよ」
とか
「いやー気分いいなあ」
とかホームで叫んでる。うーん。知り合いだと思われても困るけど、この状況じゃあ別に構わないか、と思いながら一服の続き。すると...
「あ! 何かションベンしたくなってきた」
おいおい、どうみてもアンタ50才過ぎてるだろ。若いなあ。
「いいや! もうここでションベンしちゃお」
あははは。
何だか反対方向・向かいのホームにいるコート着たオイサンが「よー、おやじー、こんなとこでションベンすんなよー」とか笑いながら言ってる。
こっち側ではさっきのレゲエのおっさんが
「いーじゃねーかよ、我慢できねんだからよー」
と言いつつ、もう始めている。

こんな時間でも女性の姿はあるものだが、こういうタイミングもあるのかと思うくらい回りは男ばっかり。しかもみんな酔ってんの。
ホームのあっちとこっちで「あははは」とか「落ちんなよ」とかいう声が。
レゲエのオッサンも真っ最中なのに両手振り回しながら「おー!!大丈夫大丈夫。電車が来たらとめるから」とか。返しで「電車とションベン、どっちとめるんだー」とか言ってるオイサンもいるし。

そんなこんなで笑っているうちに終わったらしく、階段を降りてレゲエのおっさんはどっかに消えてしまった。
良く考えたら、あのレゲエのおっさんは浮浪者にありがちなにおいもしなかったし、天真爛漫で本当に気持ちのいい笑顔だったと思う。

こういうのを人生の達人と呼ぶのかもしれない。
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by xdev | 2004-10-01 02:08 | misc
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